この記事を読むと次のことが分かります。
- 猫がかかりやすい主な病気10種類と、それぞれの早期発見のポイント
- ライフステージ(子猫・成猫・シニア)ごとに注意すべき疾患の傾向
- 飼い主にできる予防の4本柱と、動物病院に行くタイミングの目安
猫は体調不良を隠す——だからこそ「知識」が早期発見につながる
猫は体調が悪くても、外見上は普段通りに見せることが多い動物です。これは野生環境で「弱みを見せると狙われる」という本能的な行動の名残とされています。捕食者に狙われるリスクを避けるために、不調を隠す能力が磨かれてきたと考えられています。
この性質は、「少しおかしいな」に飼い主が気づくことを難しくします。定期健診で偶然発見されるケースも多く、症状が外から見えるようになった頃には、すでに進行していることがあります。
だからこそ、「どんな病気があるか」を事前に知っておくことが意味を持ちます。「食欲が落ちた」「水をよく飲む」「トイレの回数が増えた」——こうした変化を「気のせいかな」で流さず「もしかして」と考えられるのは、知識がある飼い主だけです。
この記事では、猫がかかりやすい代表的な病気10種類を「迎える前に知っておく」観点で整理します。「飼ってから怖くなった」のではなく、「知っているから落ち着いて備えられる」ための情報として活用してください。なお、個別の症状の判断・診断・治療については、必ず獣医師にご相談ください。
ライフステージ別・かかりやすい病気の早見表
猫がかかりやすい疾患は、年齢によって傾向が変わります。どのライフステージの猫を迎えるかによって、注意すべき疾患も変わってきます。
| ライフステージ | かかりやすい主な疾患 |
|---|---|
| 子猫(1歳未満) | 猫風邪、消化器系疾患(下痢・嘔吐)、耳ダニ、皮膚疾患 |
| 成猫(1〜10歳) | 泌尿器系疾患(FLUTD)、歯周病、皮膚疾患、肥大型心筋症、肥満(避妊・去勢後) |
| シニア(11歳以上) | 慢性腎臓病(CKD)、甲状腺機能亢進症、がん・腫瘍、歯周病、認知機能不全症候群 |
どのライフステージでも共通して重要なのは、定期健診と日常観察です。早期発見・早期対応が、その後の経過を大きく左右します。
なお、特に避妊・去勢手術後の成猫は体重が増えやすく、肥満そのものが糖尿病・関節疾患・下部尿路疾患の引き金になるとされています。
また、シニア期(11歳以上)の終盤、特に15歳を超える猫では、認知機能不全症候群(CDS、いわゆる「猫の認知症」)の相談が増える傾向があります。夜鳴き・徘徊・トイレの失敗などが見られた場合、加齢のせいだけでなく認知機能の低下も視野に入れて獣医師に相談してください。
子猫・成猫・シニアそれぞれの特徴については、別記事『子猫と成猫、どちらから迎える?』で詳しく整理しています。
猫がかかりやすい病気10選
各疾患について「どんな病気か」「かかりやすい条件」「早期発見のサイン」「予防策」「治療費の目安」の順に整理します。治療費はあくまで目安であり、疾患の重症度・病院・地域によって大きく異なります。
泌尿器系疾患(FLUTD)——猫で最も多い疾患群
膀胱炎・尿石症・尿道閉塞などをまとめて「FLUTD(猫下部尿路疾患)」と呼びます。アニコム『家庭どうぶつ白書』によると、泌尿器系疾患は猫の全保険請求の約13.5%を占め、通院件数の上位に常連です。
かかりやすい条件:室内飼いで運動量が少ない猫、水分摂取量が少ない猫、ストレスを感じやすい環境にある猫。雄猫は尿道が細く、尿道閉塞を起こすリスクが雌より高いとされています。
早期発見のサイン:頻繁にトイレに行くが尿が少ない・出ない、トイレで長時間しゃがんだままの姿勢、血尿、トイレ以外の場所での排泄。何度も排尿姿勢を取るのに尿がほとんど出ない、あるいは半日近く排尿が確認できない場合は緊急のサインです。特に雄猫の尿道閉塞は急速に悪化することがあるため、すぐに獣医師に連絡してください。
予防策:水分摂取量を増やすこと(ウェットフードの活用・流水タイプの給水器)は、FLUTD・CKDの予防・再発対策として重要なポイントのひとつとされています。トイレ環境の清潔維持(1日2回以上の掃除)と、ストレスを減らす環境づくりも重要です。別記事『「猫は水を飲まない」の誤解を解く』と別記事『猫が喜ぶ部屋づくり』も参考になります。
治療費の目安:軽度の膀胱炎は1回5,000〜15,000円程度。尿道閉塞では入院・手術が必要になり、数十万円になることもあります(出典:アイペット損保「傷病ランキング2024」)。ペット保険の対象となりやすい疾患群です。
慢性腎臓病(CKD)——高齢猫の最重要疾患
腎臓の機能が徐々に低下していく疾患です。一度失われた腎機能は回復しない(不可逆性)ため、早期発見が予後を大きく左右します。
かかりやすい条件:7歳以上の高齢猫。複数の研究で「7歳以上の猫の推定30〜35%(IRIS 2023ガイドライン)」「15歳以上では30〜50%程度(Elliot & Barber, 1998 等)」が何らかの腎機能低下を抱えるとされています。ソースによって対象年齢・診断基準が異なるため数値には幅がありますが、高齢猫への影響が大きい疾患であることは確かです。
早期発見のサイン:水をよく飲む・尿の量が増える(多飲多尿)、体重が減ってきた、食欲が落ちた、毛並みが悪くなった・元気がない。初期段階では症状が出にくいため、血液検査・尿検査による定期的なスクリーニングが最も有効な早期発見手段です。
予防策:「完全に予防する」方法は現状確立されていませんが、水分摂取の確保と年1〜2回の定期健診が早期発見に直結します。近年は「SDMA」という新しい検査項目が普及し、従来のクレアチニン検査より早期に腎機能の低下を捉えられるようになっています。健診時にSDMAを含めた検査ができるか、かかりつけの動物病院に相談してみるのもひとつの方法です。「まだ元気だから」と健診を先延ばしにしないことが重要です。健診のタイミングは別記事『猫のワクチン・健康診断スケジュール』で確認できます。
治療費の目安:薬・輸液・療法食による長期管理が必要です。アニコム損保調べでは、CKDの年間平均診療費は約272,598円、通院回数は年平均約15回とされています。長期管理を前提に、医療費の備えを考えておくと安心です。
歯周病・口内炎——成猫以降の大多数が経験
歯垢が歯石になり、歯茎の炎症へと進行する疾患です。口腔内の慢性炎症は、全身状態に影響する可能性も指摘されています。
かかりやすい条件:成猫以降。「3歳以上の猫の70〜80%に歯周病の所見がある」とされており(複数の獣医師監修記事より)、多くの猫が経験する疾患です。
早期発見のサイン:口臭が気になるようになった、よだれが増えた、ドライフードをあまり食べなくなった・痛そうに食べる、口元を気にする仕草が増えた。
予防策:迎えた直後から歯磨きを習慣化することが最も効果的です。子猫期に口周りを触ることに慣れさせておくと、ブラッシングの受け入れがスムーズになります。デンタルケアスナックや歯磨きジェルを補助的に使う方法もあります。「迎えた日から始める」ことが差を生みます。
治療費の目安:全身麻酔下での歯石除去処置で2〜5万円程度が目安です。抜歯を伴う場合はさらに費用が増える傾向があります。
消化器系疾患(下痢・嘔吐・IBD・毛球症)——通院件数1位
食事性・ストレス性・疾患性の3パターンがある幅広い疾患群です。アニコム『家庭どうぶつ白書』では消化器疾患が全保険請求の約15.9%を占め、猫の通院理由の中で最多です。
かかりやすい条件:全年齢。特に環境が変わったとき・食事を急に切り替えたとき・多頭環境でのストレス下で発症しやすい傾向があります。
早期発見のサイン:嘔吐の頻度が急に増えた(週3回以上は経過観察が必要)、血便・黒色便、体重が急激に減っている、元気・食欲が明らかに落ちた。嘔吐自体は猫に比較的よく見られますが、頻度や内容物・他の症状と合わせて判断することが大切です。
予防策:急な食事変更を避け(切り替えは7〜10日かけてゆっくりが目安)、定期的なブラッシングで毛球症のリスクを抑えることが有効です。別記事『キャットフードの選び方』も参考になります。
治療費の目安:軽度の下痢・嘔吐は1回5,000〜15,000円程度。IBD(炎症性腸疾患)は長期管理が必要になることがあります(出典:アイペット損保「傷病ランキング2024」参照)。
皮膚疾患——通院件数の常連
アレルギー性皮膚炎・ノミアレルギー皮膚炎・真菌感染症(皮膚糸状菌症)などが代表的です。室内飼いの猫でも発症します。特に皮膚糸状菌症(いわゆる「リングワーム」)は人にも感染するとされており、注意が必要です。
かかりやすい条件:全年齢。アレルギー体質の猫・多頭飼い環境・新しい猫を迎えた直後など。
早期発見のサイン:同じ場所を繰り返しかく・なめる(過剰グルーミング)、脱毛している箇所がある、皮膚が赤くなっている・フケが増えた、かさぶたや小さなブツブツが見られる。
予防策:定期的なノミダニ予防薬の使用(室内飼いでも窓や玄関からノミが入ることがあります)と、生活環境の清潔維持が基本です。
治療費の目安:1回3,000〜15,000円程度。症状が長引く場合は累積費用が増加する傾向があります(出典:アイペット損保「傷病ランキング2024」参照)。
猫風邪(上部気道感染症)——子猫期の代表疾患
ヘルペスウイルス・カリシウイルス・クラミジアによる上部気道感染症を総称して「猫風邪」と呼びます。ヘルペスウイルスは一度感染すると体内に潜伏し、ストレス時に再発することがあります。目やに・結膜炎などの目の後遺症も、ヘルペスウイルスが原因となることが多いとされています。
かかりやすい条件:ワクチン未接種の子猫・多頭飼い環境・保護猫を迎えた直後。別記事『「保護猫は病気持ち」の誤解を解く』でも触れていますが、保護猫だからといってリスクが特別高いわけではなく、迎え直後の健康状態の確認と適切な隔離期間が重要です。
早期発見のサイン:くしゃみが続く、鼻水(透明から黄色・緑色へ変化)、目やに・結膜の充血、食欲低下・発熱。
予防策:3種混合コアワクチンの接種が最も有効な予防手段です。保護猫を迎える際は、迎え後しばらくの隔離期間を設けることも感染拡大防止に有効とされています。別記事『猫のワクチン・健康診断スケジュール』でスケジュールを確認できます。
治療費の目安:軽度は1回3,000〜10,000円程度。重症化・入院が必要な場合は数万円になることがあります。
耳の病気(外耳炎・耳ダニ)——観察で気づきやすい疾患
外耳炎は耳道の炎症、耳ダニはミミヒゼンダニが耳の中に寄生する感染症です。日常的に観察しやすく、早期発見しやすい疾患でもあります。
かかりやすい条件:全年齢。たれ耳の猫種(スコティッシュフォールドなど)は耳道が折れ曲がって空気が通りにくく、外耳炎になりやすい傾向があるとされています。耳ダニは猫同士・犬猫間で感染します。
早期発見のサイン:耳を頻繁にかく・頭を振る、耳の中に黒い汚れが多い・臭いがある、耳に触れると嫌がる。
予防策:週に1回程度の耳チェックを習慣にすると、異変に気づきやすくなります。多頭飼いの場合は、ノミダニ予防薬を全頭に使用することで耳ダニの感染リスクを下げられます。
治療費の目安:1回3,000〜10,000円程度が一般的な目安です。
甲状腺機能亢進症——シニア期の「体重減少」サイン
甲状腺が甲状腺ホルモンを過剰に分泌する疾患です。高齢猫特有の疾患とされており、進行すると心臓・腎臓・血圧にも影響を与えることがあります。
かかりやすい条件:10歳以上の猫。日本での調査では8歳以上の約8.9%、10歳以上の約10.7%が罹患するとのデータがあります(出典:JBVP(日本臨床獣医学フォーラム))。
早期発見のサイン:食欲が増えているのに体重が減ってきた、水をよく飲む・尿量が増えた、落ち着きがなくなった・多動になった、嘔吐・下痢が増えた。「食欲があるから大丈夫」と見逃されやすい疾患です。
予防策:シニア期から年2回の定期健診での血液検査が最も有効な早期発見手段です。症状が外から見えるようになった頃には進行していることが多いため、「まだ元気だから」と健診を先延ばしにしないことが重要です。
治療費の目安:薬物療法による長期管理(月1〜2万円程度)が一般的です。
肥大型心筋症(HCM)——「元気に見えても発症している」猫特有の疾患
心臓の筋肉が肥厚して心機能が低下していく疾患で、猫で最も多い心臓病とされています。無症状で進行することが多く、最初の症状が急性の呼吸困難として現れるケースもあります。
かかりやすい条件:健康に見える猫を対象にした研究では、14.7%にHCMの所見が認められた(9歳以上では29.4%)というデータがあります(Paige CF et al., 2009. JAVMA 232(11))。HCMは遺伝的要因が関わるとされ、メインクーン・ラグドール・アメリカンショートヘア・スコティッシュフォールドなどの猫種で発症率が高いと報告されています。アメリカンショートヘアは日本でも人気の高い猫種です。ミックス猫でも発症することがあります。猫種を選ぶ際の参考として、別記事『初心者におすすめの猫種10選』も参照してください。
早期発見のサイン:安静時でも呼吸が速い・浅い、口を開けて呼吸している、ぐったりして動かない。口呼吸が見られる場合は緊急のサインです。すぐに獣医師に連絡してください。
予防策:定期健診での聴診・必要に応じた心臓超音波検査が最も有効な早期発見手段です。「元気なうちから定期健診を受ける」ことの意義が最もよく伝わる疾患のひとつです。
治療費の目安:内科管理(薬物療法)による継続的な通院が必要です。急性期の入院・処置が重なると数十万円になることもあります。
がん・腫瘍——手術件数1位の重大疾患
猫に発生する腫瘍のうち最も多いのはリンパ腫とされ、乳腺腫瘍・扁平上皮癌なども代表的な腫瘍として知られています。アイペット損保「傷病ランキング2024」では猫の手術件数の第1位です。
かかりやすい条件:シニア(11歳以上)を中心に発生しやすい傾向がありますが、若い猫でも発症します。未不妊の雌猫は乳腺腫瘍のリスクが高いとされています。また、猫白血病ウイルス(FeLV)陽性の猫はリンパ腫の発症リスクが大幅に高まるとの報告があります。
早期発見のサイン:体のどこかにしこりや腫れがある、急激な体重減少、食欲・元気の低下、嘔吐・下痢が続く。
予防策:定期健診での触診・画像診断が最も有効な早期発見手段です。早期避妊手術は乳腺腫瘍のリスクを下げる効果があるとされています。FeLVに対してはワクチン接種が予防策のひとつです。
治療費の目安:手術で5〜30万円以上、化学療法は月数万円〜の長期管理になることがあります。疾患の種類・進行度によって大きく変わります(出典:アイペット損保「傷病ランキング2024」参照)。
コラム——FIP(猫伝染性腹膜炎)について
TOP10には含めていませんが、「猫の感染症」として知っておく価値がある疾患です。猫コロナウイルスが変異して発症するもので、特に若い猫(1〜2歳)での発症が報告されています。猫コロナウイルスに感染した猫の一部で発症するとされており、一般的には数%未満とされますが、飼育環境や集団飼育状況によって差があります。全体的な頻度は低いものの、重篤化する疾患です。
かつては「不治の病」とされていましたが、2019年以降に抗ウイルス薬(GS-441524等)が登場し、寛解(完治に近い状態)が可能なケースが増えています。ただし、日本国内では一部の治療薬が未承認薬扱いとなるケースが多く、対応できる病院に差があるのが現状です。薬剤費も高額になることが多く(治療費が数十万円〜100万円規模になるケースもあります)、気になる症状があればFIP治療に取り組んでいる動物病院を早めに探すことが大切です。
「FIPの治療は今も研究が続いている領域」と理解しておき、気になる症状があれば早めに専門の獣医師に相談してください。
予防の4本柱——飼い主にできること
10の疾患を概観してきましたが、多くの疾患に共通する「飼い主にできること」があります。
1. 定期健診(年1回・シニアは年2回)
血液検査・尿検査・触診を組み合わせた定期健診は、CKD・甲状腺機能亢進症・HCMなど無症状で進行する疾患の早期発見に直結します。「元気に見えるうちから受ける」ことが最大のポイントです。健診のタイミングや内容については、別記事『猫のワクチン・健康診断スケジュール』と別記事『猫の健康診断完全ガイド』(公開予定)で詳しく整理しています。
2. ワクチン接種と感染症対策
猫風邪・猫汎白血球減少症(パルボウイルス)をカバーする3種混合コアワクチンは、接種推奨が確立しています。FeLV(猫白血病ウイルス)ワクチンはリスクに応じた判断が一般的です。別記事『猫のワクチン・健康診断スケジュール』でスケジュールを確認してください。
3. 食事管理と水分摂取の確保
総合栄養食を主食にすることで、栄養バランスの偏りを防げます。水分摂取の確保はFLUTD・CKDの予防に直結するため、飲水量を増やす工夫が有効です。別記事『キャットフードの選び方』と別記事『「猫は水を飲まない」の誤解を解く』も参考になります。
4. 日常観察(食欲・飲水量・排泄・行動の変化)
毎日の食事量・水の飲み量・排泄の回数と状態・行動の「いつもと違う点」——こうした観察を積み重ねることが、早期発見への最初の一歩です。一緒に暮らす飼い主だからこそできる、最も身近な予防手段です。健康モニタリングデバイスの活用も選択肢のひとつです。別記事『Catlog導入前の全調査』で機能・費用・落とし穴を整理しています。
「いつ病院に行くか」の目安
「症状が出たらすぐ病院」が理想ではありますが、実際には緊急度を判断する場面もあります。以下はあくまで目安です。最終的な判断は必ず獣医師にご相談ください。
❌ 今すぐ受診すべき症状(緊急)
- 何度も排尿姿勢を取るのに尿がほとんど出ない、半日近く排尿が確認できない(特に雄猫は尿道閉塞のリスクが高く、急速に悪化することがあります)
- 口を開けて呼吸している、呼吸が速くて浅い
- ぐったりして動かない、呼びかけに反応が薄い
- 大量の血便・嘔血・血尿
夜間や休日にこれらの症状が現れた場合は、「朝まで様子見」ではなく、夜間救急病院や24時間対応の動物病院を探して受診することをおすすめします。
⚠️ 今日明日中に受診したほうがいい症状
- 24時間以上食欲がない
- 嘔吐が1日3回以上ある、または嘔吐の頻度が急に増えた
- 1週間で体重が10%以上減った
- 軟便・下痢が数日間続く
✅ 数日経過観察してもOK(悪化したらすぐ受診)
- 1〜2回の嘔吐(毛玉・食べ過ぎが原因と思われ、その後元気)
- 軽度の軟便が1〜2日(食事変更直後で元気はある)
「迷ったらかかりつけの動物病院に電話相談」を習慣にするのも方法のひとつです。緊急時の行動を事前にイメージしておくことで、いざというときに慌てずに済みます。特に一人暮らしの方は、緊急時の連絡体制を整えておくことをおすすめします。別記事『一人暮らしで猫を飼う完全ガイド』も参考にしてください。
医療費への備え——保険か貯蓄か
10の疾患を概観すると、軽い疾患の通院費は年数万円程度に収まることが多い一方、CKDや甲状腺機能亢進症などの慢性疾患では年10〜30万円規模の管理費が継続することがあります。腫瘍の手術・入院が重なると数十万〜100万円超になるケースも報告されています。
なお、通院1回の診察料は5,000円程度から始まりますが、検査(血液検査・レントゲン・エコー等)が重なると初診で3〜5万円程度になることもあります。「診察料だけ」のイメージで備えるとギャップが生まれやすいため、「検査一式」のインパクトも考慮しておくと現実的です。
「保険か貯蓄か」は猫の年齢・健康状態・家計状況によって最適解が異なります。迎える前に一度、医療費の現実的な水準を把握しておくと、準備がしやすくなります。詳細は別記事『猫のペット保険は本当に必要?』と別記事『猫を飼う費用の完全シミュレーション』で整理しています。
よくある質問
屋外飼いに比べてリスクが低い部分はありますが、室内飼いでも泌尿器系疾患・消化器系疾患・皮膚疾患・心疾患などは発症します。「室内だから安心」ではなく、室内でも定期健診と日常観察を続けることが大切です。
迎えた直後の初回健診(健康状態の確認・ワクチン接種状況の把握)からスタートします。成猫になってからも年1回、7歳以降は年2回が目安とされています。詳しくは別記事『猫のワクチン・健康診断スケジュール』をご覧ください。
「必ず入るべき」とも「不要」とも言い切れません。猫の年齢・健康状態・家計状況によって最適解が変わるためです。判断材料の整理は、別記事『猫のペット保険は本当に必要?』で「保険vs貯金」の観点から扱っています。
全年齢共通で遭遇頻度が高いのは「泌尿器系疾患」と「消化器系疾患」です。シニア期(11歳以上)に移行した猫では「慢性腎臓病」の早期発見が特に重要とされています。いずれも定期健診と日常観察が最も確かな対策です。
まとめ・次のアクション
猫がかかりやすい病気のほとんどは、「完全に防ぐ」ことは難しくても、「定期健診と日常観察で早期発見し、対処できる」ものが多くあります。「知識があるから、変化に気づける」——まずはその準備として、この10の疾患を頭の片隅に入れておいてください。
- 『猫のワクチン・健康診断スケジュール』 ➡ ワクチン・健診の具体的なスケジュール確認
- 『キャットフードの選び方』 ➡ 食事管理の具体的なポイント
- 『猫のペット保険は本当に必要?』 ➡ 医療費の備え方を「保険vs貯金」で整理
- 『猫を飼う費用の完全シミュレーション』 ➡ 生涯医療費の現実的な概算
- 『はじめて猫を迎える人のためのロードマップ』 ➡ 迎えるまでの全体像を確認
- 『子猫と成猫、どちらから迎える?』 ➡ 年齢別のリスク・特徴の比較
参考文献
- アニコム『家庭どうぶつ白書2024』
- アイペット損保「傷病ランキング2024」
- IRIS(International Renal Interest Society)慢性腎臓病ガイドライン 2023年版
- Elliot J, Barber PJ. Feline chronic renal failure: clinical findings in 80 cases diagnosed between 1992 and 1995. J Small Anim Pract. 1998.
- Paige CF et al. Prevalence of cardiomyopathy in apparently healthy cats. J Am Vet Med Assoc. 2009;232(11):1721-1725.
- JBVP(日本臨床獣医学フォーラム)「猫の甲状腺機能亢進症」
- 埼玉県獣医師会「猫の飼い主さんに知っておいてほしい猫の病気5選」
- 複数の獣医師監修記事(アニコム損保・ライオンペット等)

