年末年始、猫と安全に過ごすには【この時期よくある危険物と備え】

住まいのこと

この記事を読むと次のことが分かります。

  • 年末年始に家の中で増える危険物について
  • おせち・お餅で気をつけたいこと
  • 12月中にやっておくと年末年始が楽になる対策
※この記事は、猫を迎えるかどうか検討している方に向けて、調査した情報をまとめたものです。誤食が疑われる場合などの最終判断は、かかりつけの獣医師にご相談ください。

年末年始は、家の中に「いつもと違うモノ」が増える時期

年末年始は、家の中に「いつもと違うモノ」がやってくる時期です。

南天や水引を使った正月飾りや鏡餅、お屠蘇、お節料理やお餅といった普段の食卓には並ばない食べ物。クリスマスツリーの飾りも猫の興味をひく季節モノです。帰省や来客で、人の出入りも増えますね。

調べた範囲では、年末年始に猫の誤飲・誤食事故が増えるという統計は見つかりませんでした。でもこれは、「年末年始だからといって特に注意が必要なわけじゃない」ということを意味するものではありません。

研究データの有無にかかわらず、ふだん家では見慣れない物、猫の興味をひきそうなものが増える時期であるのは事実です。だからこそ何が増えるのか、猫に危険なものはないかをあらかじめ知っておく価値があります。

この記事では、その中身を1つずつ見ていきます。

猫にとって危険な正月飾り・植物を知っておく

正月飾りや生け花には、猫にとって注意が必要な植物が含まれることがあります。

「危険」という情報はネットにあふれていますが、根拠の確かさにはばらつきがあります。ここでは、海外の動物愛護団体が運営する毒性データベースをもとに、猫への毒性が明記されている植物を整理しました。

●毒性データベースに猫への毒性が明記されている植物

植物 主な症状 出てくる場面
南天(Nandina domestica) 脱力・けいれんなど 正月飾り・庭木
ユリ(Lilium属など) 嘔吐・食欲不振のあと急性腎不全(花瓶の水でも) 正月の生け花
菊(Chrysanthemum属) 嘔吐・下痢・皮膚炎 正月の生け花・仏花
セイヨウヒイラギ(Ilex属) 嘔吐・下痢 クリスマスの飾り

ユリは特に注意が必要です。花びらや葉だけでなく、花瓶に生けた水を舐めただけでも急性腎不全を起こすことがあるとされています。別記事『「猫に〇〇は危険」の誤解を解く』でも詳しく扱っています。

一方、門松の松や、縁起物としてよく見る千両・万両は、「危険」とする情報を見かけるものの、植物の種類まで特定したうえで猫への毒性を明記した記載は確認できませんでした。

ここで注意したいのは、毒性の記載が確認できないことは「猫に安全」という意味ではないという点です。安全かどうか分からないものは、確認できるまでは猫の届かない場所に置くようにするのが無難です。

クリスマスツリーまわりの注意点

クリスマスから正月にかけては、ツリーの飾りにも注意が必要です。オーナメントの誤飲や、電飾のコードをかじることによる感電のリスクがあります。

本物のモミの木を飾る場合は、水受けの水にも注意してください。雑菌が繁殖しやすいうえ、延命剤や肥料が入っていることもあります。猫が舐めないよう、水受けは覆っておくと安心です。

クリスマスの置物として飾るスノードームも注意したいものの一つです。中の液体には、不凍液にも使われるエチレングリコールが含まれていることがあります。ペット全般に強い毒性があり、猫では少量でも危険とされています。割れて中身が漏れたときは、猫が近づかないようすぐに片付けてください。

水引や凧糸など、線状のものを誤って飲み込んでしまうリスクについては、別記事『猫のキッチンの誤食・事故を防ぐ』で詳しく扱っています。

おせちで気をつけたいのは毒性と味付け

おせち料理には、猫にとって注意したい食材がいくつかあります。ただ、1品ずつ見ていくより、性質で分けて考えるほうが実用的です。

ネギ類(玉ねぎ・長ねぎ・ニラなど)は、加熱しても猫にとって安全になるわけではありません。生だけでなく、加熱した料理や、乾燥・粉末状のものでも中毒が起こることがあります。お雑煮の出汁や煮しめの煮汁にも成分が溶け出しますので、具として食べさせていなくても注意が必要です。

お屠蘇や日本酒などのアルコールも、猫が口にすると中毒を起こすおそれがあります。乾杯のあとのお猪口や、飲みかけのグラスを卓上に置いたままにしないでください。

ネギ類・アルコールのどちらも、猫に意図的に与えるべきではない成分です。一方、栗きんとんや伊達巻などの甘い料理、味の濃い煮物やお雑煮は、少し性質が違います。塩分そのものは猫にとって必要な栄養素ですし、糖分も直接の毒物ではありません。

問題は、人間向けの料理が猫の栄養管理を前提に作られていないことです。味付けされた料理を習慣的に与えると、塩分や糖分を必要以上に摂取することになります。猫の普段の食事は、猫用の総合栄養食を基本にするのが安全です。この「量」の視点は、別記事『「猫に〇〇は危険」の誤解を解く』でも詳しく整理しています。

お餅を与えない理由は、毒性ではなく丸呑みしやすさ

お正月といえばお餅です。猫に与えるべきではない、というのはよく言われることですが、その理由はどこにあるのでしょうか。

お餅そのものに、ユリやネギ類のような強い毒性があるわけではありません。理由は別のところにあります。猫は人間ほどよく噛んで食べる動物ではないため、お餅のように粘着性が強い食べ物は、うまく飲み込めなかった場合に喉や消化管で詰まらせるおそれがあります。

猫は肉食動物で、栄養上は動物性の食品を中心とした食事が基本です。お餅を栄養補給の目的で与える理由もありませんので、お雑煮や鏡餅は猫の届かない場所に置いておくことをおすすめします。

年末年始という数日間への備え

年末年始は、危険物が増えるだけでなく、「もしも」のときに頼れる先の状況も変わる時期です。慌てないために、12月中に済ませておきたいことをまとめました。

12月中にやっておきたいこと

  • かかりつけの動物病院の年末年始の診療日を確認する
    休診の告知は12月上旬〜中旬に院内掲示や病院サイトで出ることが多く、病院ごとに条件が異なります。
  • 休日当番医・夜間救急の連絡先を控えておく
    連絡先については、都道府県の獣医師会が案内していることが多いです。何かあってから探し始めると焦りやすいため、事前に調べておくと慌てずに対応できます。
  • 持病がある猫の処方薬・療法食は、年内最後の通院時に相談しておく
    「年始の診療再開日までの日数分」を備えておくと安心できます。
  • ペットホテルやシッターを利用する予定があれば、早めに予約する
    年末年始は予約が埋まりやすい時期でもあるので、早めに対応するのが良さそうです。

実家に猫を連れて帰省する場合は、実家の環境にも目を向けてください。仏壇には、お供えの餅や果物、火のついた線香やろうそくが置かれています。猫が飛び乗れば、誤食にも火傷にもつながります。実家で他のペットを飼っている場合は、相性への配慮も必要です。

大掃除の時期は、ふだんしまってある洗剤やカビ取り剤が一時的に床に出たり、窓や玄関を開け放つ時間が増えたりします。作業中は猫を別室など安全な場所に移しておくと、誤食や接触事故を防ぎやすくなります。

年末年始は自治体のゴミ収集も数日間止まります。竹串や魚の骨、食品トレー、ネギの切れ端といった猫にとって危険なゴミが、家の中に留まり続けることにも注意してください。フタ付きのゴミ箱に集約するか、猫の入れない部屋にまとめておくと安心です。

来客が増える時期は、玄関の開閉も増え、脱走のリスクが高まります。対策の詳細は別記事『猫の脱走対策完全ガイド』にまとめています。

もし誤食してしまったら

ここからは一般的な初動の目安です。実際に誤食が疑われる場合、対応は食べた物や量によって変わりますので、必ず獣医師の指示を優先してください。

  • まず、かかりつけの動物病院、休診なら休日当番医や夜間救急に連絡する
  • 何を・いつ・どれくらい食べたか、分かる範囲で伝える。商品パッケージや植物の現物・写真があれば用意しておく
  • 自己判断で吐かせようとしない
  • 症状が出ていなくても、自己判断で様子を見続けない

よくある質問

12月・年末年始に猫を迎えるのは避けたほうがいいですか?

必ずしも避ける必要はありませんが、検討しておきたい点はあります。動物病院が数日間休診になりやすく、慣れない環境での体調変化に気づいても、すぐ相談できるとは限りません。譲渡会そのものが休止していることもあります。もし年末年始に迎える予定があるなら、この記事で紹介した準備を先に済ませておくと安心です。

実家に連れて帰省するのと、家で留守番させるのはどちらがいいですか?

猫にとって負担が少ないのは、住み慣れた自宅で過ごすことだとされています。帰省の期間や実家の環境によって適した選択肢は変わりますので、別記事『旅行・出張で家を空けるとき、猫はどうする?』で整理した判断軸も参考にしてください。

猫が正月飾りをかじった跡がありますが、元気そうです。様子を見ていいですか?

症状が出ていなくても、口にした植物の種類や量によっては、後から症状が現れることがあります。「元気そうだから大丈夫」と自己判断せず、何をどれくらいかじったか分かる範囲で確認したうえで、まずかかりつけの動物病院に相談してください。植物の種類や写真が分かれば、相談時に伝えると役立ちます。

正月飾りを造花やプラスチック製にすれば安心ですか?

毒性のある植物を避けても、造花やプラスチック製の飾りをかじって飲み込んでしまう誤飲のリスクは残ります。毒性がないことと、猫にとって安全なことは同じではありません。素材にかかわらず、猫の手が届かない場所に飾ることをおすすめします。

まとめ・次のアクション

年末年始は、ふだん家にない飾りや食べ物が一時的に増える時期です。事故が増えるという統計こそありませんが、それは「危険ではない」という意味ではなく、あらかじめ何が増えるのかを知っておく価値があるということです。12月中に準備しておけば、落ち着いて年末年始を迎えられます。

最後に、この記事の要点を整理します。

  • 年末年始は、ふだん家にない飾りや食べ物、来客・帰省が一時的に増える時期
  • 毒性データベースで確認できた植物は南天・ユリ・菊・アマリリス・セイヨウヒイラギ。松や千両・万両は記載を確認できなかったが、これは「安全」という意味ではない
  • 病院の診療日確認・薬の確保・ペットホテルの予約は、12月中に済ませておくと落ち着いて迎えられる

次の一歩

より深く知りたい方へ

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